後書き――いつのまにやらってる秘密ひみつ――


「いつもどおり後書きタイトルに深い意味はありません(笑)。というか、結構大部分の秘密はそういうものなんじゃないかって気がします。「よしっ、秘密作るぞ」と思って隠し事を始める人なんか、そうそう思いつかないとは思いませんか?結局状況に流されて、秘密って言うのはできてしまうものなんだろうと思いますよ。」
 えーと、思ってることはすでに書かれていたので、連載時の後書きからそのまま引っ張ってきました。別に手抜きではありませんが、こう言うと言い訳じみてしまってちょっと嫌ですね……。
 この第九回はGNO‐SIS二〇〇二年一月号に掲載されました。そこにちょっと加筆修正(それから削除も)しています。定義的には「最終回への前振り編・その一」と言うことになるでしょう。本当は、時間さえ許せば秋の話には決着がついているはずで、次号では何の変哲もない数日間(いわゆる嵐の前の静けさ)を描いてみたりするはずだったのです。いいシーンがあったんですよ、星空を見上げて語り合うシーンが……。ただ、そうすると極端に緊迫感がなくなってしまうと気づいたので、今回の修正でも入れない事にしました。
 前振りと言うだけあって色々と大騒ぎです。いいお兄さんこと来さんはきっと状況を全て把握し、隙さえあらば……いや、由乃が危機に陥ったならばすぐさま助けに来る準備をしているに違いありません。悪いお兄さん……とまでは言わないけど厄介なお兄さん(しかも二人)も暗躍していますね。結城秀一は何故か一粋と並んで人気があります。相当人の悪いひとだと思うのですがねえ。しかもシリーズ随一のお人良しと並んで、というところに人生の不思議を感じてしまいます。……それはいくら何でも悟りすぎ、という気もしますが。
 ともあれ由乃は来さん、秋は秀一さんと言う頭脳ブレインを手に入れたわけで、そうするとひたすら取り残されるのが男勢です……。作中で秀一(×2)が言ってますが単純馬鹿ばっかりです。一粋はそうでもないのに他の二人に巻き込まれていますね。本当はあったはずの「彼らが真相に気づくエピソード」はどう考えても入れようのない展開になってしまいましたから、もうどうしようもないんですが……もともと、全員に公平にヒントを与える目的でこの話(秋誘拐)は考えたはずだったんです。藤四郎の意識が戻る以前に、この世界に彼の夢が混入して、男たちも真相への道を見出していたはずだったんですが……やはり、計画性というのは最も必要なものですね(いい加減くどいんですが)。
 そう言えば、前回わざわざ振ったにもかかわらず今回結城保幸(秀一や友典たち兄弟の六番目にして五男坊。後半に収録の「番外編」と外伝肆参照)が出てきませんでした。ちょっと構成に失敗したようです。あえてここで直さないのは結果としてそう悪いことにならなかったからなので、気にしないでいただけると幸いです。
 次回彼が沢山登場しますが、実は番外編読了を前提にして本編が書かれているので非常に不親切です。できれば先に番外編に手を伸ばしてくださいますようここでお願いしておきます。

 連載時はこの辺りで「連載終了への寂寥感」と「連載完了への高揚感」に板ばさみでした。しかし、文化祭前にはその余裕もなかったようです。そんなことが書いてありましたが、みっともないので消しました。……ここで言ってしまっては意味がないですが……。
 それではこの辺りで。次回もよろしくお願い申し上げます。

水門 清哉 拝。


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