後書き――明日あしたはパスタ――


 苦し紛れに考えたサブタイトルは、時に私を大変困らせてくれます……。本編を通しての大仕掛けのためとはいえ、もう少しどうにかならなかったんでしょうか。たとえば『明日は明日だ(あしたはあすだ)』……ああ、法則性には従ってるものの、前よりもっと駄目ですね……(おいおい)。
 本編は本編で伏線の消化が厳しくなってきたし(連載時に落としていた伏線が一つあったのです)、後書きはこんなですし、何だかだいぶ大変です。

 二〇〇一年十一月号GNO‐SISに載ったはずのこの第七話は、藤四郎さんは大変そうだし、友典はあんなことになってるし(漠然としてるのは後書きから先に読む人対策です)、一粋は砂漠を彷徨ってるし(『彷徨う』というほど大げさな移動はしてませんが)、火奈ちゃんは小さい頃の由乃にそっくりな態度だし(詳しくは外伝壱を読みましょう)、嘉村さんは何だか勝手に感動してるし……みんな個性が出てきて厄介なことこの上ないです。自分ひとりの脳で処理しきれたのが不思議なレベルです。みんな好き勝手に行動してるんだもの。
 そして逆に、今回出てこなかったのは秀一兄さん。きっと自室で窓の外を眺めながら「にやり」とか笑っておられます。楽しいだろうなあ、こういうの。立場と時間とお金が許せば一度高層ビル(ホテルの部屋、しかもスイートを借りてみたりして……)の高層階でやってみたいものです。……さすがにそれは、当分の間無理そうですが。
 因みに、オアシスで植物を検査しているのは、秋の将来の姿です。実際に未来に接続されているわけではないのですが、秋の将来の理想の姿が『夢』の中に流出して、一粋にも見えるようになった、というのが本当のところ。
 それから……由乃さんと来さんの話について、連載当時のこの後書きでは存分に語っています。しかし私は嘘をつきました。いえ、嘘をつこうとしてついた訳ではないのです。ただこのネタで外伝を書いたところ、結果としてこの後書きで言ったことが嘘になってしまっただけです。その外伝というのは、くどいようですが後に収録されている外伝壱話のことですので、ご参照ください。
 収拾がつきにくくなってきたことに、連載当時の私は悩んでいたと見えます。そりゃあもう必死で書いたのですが、全然生産量が追いつきませんでした。そんな私の計画性のなさは、登場人物のみんなが保証してくれます。……してくれなくていいです。もう……何と言うか、証明してくれすぎるので、思わず私は拗ねそうです。
 それでは今回はこの辺で。次回をお楽しみください。

水門 清哉 拝。


 NEXT
 STEB ROOM
 NOVEL ROOM



[PR]動画