後書き――はなはだしくいそがしいよ――


 一年以上も前につけたサブタイトルが現状を表しすぎていてびっくりしています。つまり……有り体に言えば行動がそのころから、一歩も進歩していないということになります。……うわぁ。切実に、成長したいです、私。
 二〇〇一年九月号GNO‐SISに掲載のこの話では、結構展開が進んだのではないかと思います。秀一さんの方はかなり積極的に手出しが始まり、藤四郎の正体は凡そ明かされ(当初の予定ではそれは最後のはずだったんですが)、家はこんがらがって訳がわからなくなりました。やっぱりせっかく大きなお屋敷を舞台に話が動いているのですから、これくらいのことはしてみたくなります。因みに仕組みですが、桜都が[STEB‐SOUL]の動作に干渉したことで世界の安定が揺らぎ、屋敷の構造や世界の状態が一時的に変化してしまった、と言うことになっています。これは何故か一部(の部員)に妙に受けがよく、この状態を脱したときに「残念だ」と言ってくれた人がいましたが、実際問題この中に放り込まれたらそんなことは言っていられないと思います。トイレに行こうとして人の寝室に突入したり、ご飯作ろうとして台所に行ったら未来の自分に出会ったり……結構忙しいですよ。いや、水門は経験ありませんけど。……あ、でも、書き直していたら「世界中がぐにゃりと揺れた」の辺り思わず一緒に体感してしまって普通に気持ち悪くなりましたけど(……え、そんな馬鹿な)。
 しかし今回は、展開が早かった割に(もしくは、そのせいで)、初登場キャラクターがそんなにはいないのです。嘉村さんと、由乃のお兄さんくらいです。
嘉村さんは、実を言うと話のつなぎのためにさして意味もなく考えた人です。しかし、羽澄遊帆に敵愾心を燃やし、かつてこの部署に所属していたという伝説の研究員(何でしょうそれは……)、藤沢志津馬をいつかは超えてやるという野望の持ち主に育ちました。しかし……駄目でしょうね。
 由乃さんの兄君・来さんは、実はいつか出てくることは決まっていたんです。でもまさかこの辺でこういう風に出てくるとは思いませんでした。好きですね私、白装束……と言うか着物かもしれませんが。……本当は何か呪文など唱えるはずだったんですが、用法が今ひとつわかりませんので諦めました。由乃の家は一見すると神社で神道っぽく見えますが、実は純粋な神道ではありません。でも、日本史をやっているとよく思うのですが、神道にも本当に色々あるようですから、『純粋な神道』という表現自体がそもそも的外れかもしれません。難しいです、何しろ多神教でもあることだし。
ともあれ由乃の家庭に関しては、外伝壱話を参照していただくのがいいです。現実性を期待してはいけませんが……。
 では、次回もお楽しみあれ。

水門 清哉 拝。


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