後書き――んじゃ、はじめますかぁ――


 本編第一後書きです。この第一回「休日の不思議」は、二〇〇一年四月号のGNO‐SISに掲載されました。この時期はちょうどスランプに当たっており、文体は無茶苦茶、しかも大層読点の多い文でした。校正時、あまりのリズムの悪さに愕然とした程です。なお「不思議」は「不思議な現象」という意味の名詞として扱ってください。
 当初からこの作品は月一回連載で十一回掲載、ということが決まっていました。それなのに予想より遥かに話が展開しない事に、初回にして焦りを禁じえなかったものです。そう、この話は珍しく自分がプロットを立てて書き始めた話であるにも関わらず、全然計画とはかけ離れた進行状況になりました。……ああ、構成の才が足りませんね。
 それから、連載時のこの号の後書きでは、登場人物の名前について語っていました。ざっと評価をまとめてみます。
・割と普通の名前――結城友典、高森英晴、結城秀一。因みに「高森」は、当時遺跡捏造が発覚していた「上高森遺跡」に由来が(これに関してペーパー書苑で記事を書いていたもので……)。
・ちょっと変――実任秋。「あき」を「亜紀」などにしなかった点で。
・かなり変――外来一粋。医者志望という設定が先か、「がいらい」とも読める苗字が先かは今となっては覚えていません。名前は私が一年生の時の高校ののスローガンから拝借。本来は「一睡」または「一炊」で、中国の『栄華を極め幸福な一生を過ごしたが、目覚めてみると粟が炊き上がるまでのほんの一眠りの間の夢だった』という話(出典を忘れてしまいましたが)に出てきます。
・苗字に苦心――稲本由乃。『稲荷』というイメージ優先だったので、そのものずばり「稲荷」さんだったり「稲森」さんだったりしたのですが、「高森」との重複も考えて「稲本」に決定。
・全面的に変だが訳有り――羽澄藤四郎。藤四郎、というのは「素人」を引っ繰り返した「トーシロ」を漢字表記したものです。この表記そのものを、何かの辞書で見かけた覚えがあるんですが……。

 今回、一年以上前に書いたものを読み返してみた感想など。
一番気になったのは結城家のモノポリー。……実際問題、あの家でそういうゲームはしてないと思います。一年半が経つ間に沢山の裏設定が出来上がってきて、その結果として「これはありえない」という結論に達しました。
 それから……初版執筆最中は主要メンバー、特に英晴や秋を見て、こいつら本当に大学生か?って思っていた事を覚えてます。他のメンバー以上に、特にこの二人が何だかやけに子供っぽいのですよね。 が、自分がもうすぐ大学生になるという状況で読み直してみて思います。大学生って別に全然大人じゃないんだろうな、と。
 そりゃ、学校が替わったくらいでいきなり大人になるはずがありません。しかも彼ら、地元大学だし、引越しもしてないし、前からの仲間だし……と、高校時代を引きずる要因は山ほどあります(笑)。  だから彼らはかなり子供なのであり、そして多分、今はそのままでいいんです。必要ができたらちゃんと変わっていける人たちですから。
 それから、設定そのものの変更部分が一部あります。[STEB‐SOUL]の機体の色が黒から明るい灰色になりました。新品のパソコンのプラスチック部分みたいな色です。これは、後に出てくる[STEB‐AUTO HEART]の機体との対比、それから『いかにもパソコン』というイメージを狙っています。……と言うか、初版で黒だったとは知りませんでした。ずっと灰色のつもりで書いていましたよ、私は……(作者がこれじゃ、駄目ですね)。
それでは、とりあえずこの辺りで第一回の後書きを終わりたいと思います。次回もお楽しみください。

水門 清哉 拝。


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